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麻疹(はしか)注意報発令中!症状や治療を解説します

アトピー・湿疹の男の子のイラスト
毎年春から初夏にかけては、麻疹(はしか)の流行が世間を騒がせます。
麻疹は一般的には「はしか」と読み、医療者は「ましん」と読んだりします。
ウイルスは「ましん」ウイルスです
 
 
というわけで、遅ればせながら、今回は麻疹について紹介していきます。
 

麻疹(はしか)とは

麻疹ウイルスが感染することで急性の全身感染症がおこります。感染者と直接触れる(=接触感染)だけでなく、感染者の咳などで空気中に漂っているウイルスを吸入することでも感染する(=空気感染)ため、ヒト→ヒトへ強い感染力で拡がります。
 
 
 
 
マスクやうがい・手洗いなどでは太刀打ちできないくらい感染力が強いため、もし周りに麻疹にかかった人がいた場合は、自分のワクチン接種歴を確認した方がよいでしょう
 
 
一度感染したことがある人は、免疫を獲得しているためその後麻疹(はしか)に罹患することは稀です(=終生免疫)。しかし、免疫機能の不十分な0歳時に罹患した場合は、免疫の獲得ができていない可能性もあるため、ワクチンは投与した方がよいでしょう。
 
予防のために、2006年からMRワクチン(麻疹・風疹の混合ワクチン)として、2回の定期接種が行われています。
1回目は1歳から2歳になるまでの間
2回目は就学前の1年間(5~7歳)
 
ちなみに、空気感染する重要な疾患は
①麻疹(はしか)
②水痘(みずぼうそう)
です。これ国家試験にでますよー
 

麻疹(はしか)の感染源

2015年には、日本で麻疹は排除されたとの認定を受けています。しかし、なぜ今になっても麻疹の流行が騒がれているのでしょうか?
 
それは、海外から麻疹ウイルスがヒトを介して輸入されているからです
 
 
2016年の国立感染症研究所によると、中国やインドを始めとした西太平洋、東南アジア諸国、ナイジェリアなどのアフリカ諸国では、各地域50,000件以上の麻疹発生の報告があります。アメリカ、カナダなどは100件足らずと少なめです。
 
 
これらの国から麻疹ウイルスが伝染し、春になると流行するわけです。
 

患者の背景

患者の中心は0~1歳の赤ちゃんですが、ワクチンを投与して時間の経った成人での発症例も近年は増えつつあります。
 
ワクチンを投与されていた場合、麻疹を発症しても軽度の発熱、咳など、軽い風邪のような症状で治ることが多いのですが、これを修飾麻疹と呼んだりします
 
 
当人はすぐに治るので安心なのですが、診断がつきにくく感染を拡大させる原因にもなってしまうところも厄介な病気です
 

麻疹(はしか)の症状は?初期は風邪と間違えやすい

 ウイルスに感染すると、1週間ほど潜伏期間を経たのちに発熱、咳、喉の痛みなど、風邪のような症状が出現します。
 
注意深く診察すると、顔面に発疹が出ていたり、目ヤニ・眼の充血などがみられることがありますが、成人でごく初期の症状だと、医師でも「感冒」と診断してしまうこともあります。
 
それから2,3日経つと、39度以上の高熱と全身の発疹が出現します。ほっぺの粘膜に、白い斑点が浮き出る「コプリック斑」などは、特徴的な所見とされています。
 
ここまではっきりと症状が出ると、病歴、ワクチンの接種歴などから麻疹と診断できます。
 

麻疹(はしか)の合併症とは?

「風邪っぽい症状くらいなら、別にワクチンとか要らないんじゃね」
 
と考えてしまう麻疹(はしか)ですが
 
 
怖いのは強い感染力と、重症化しうる合併症です
 
頻度として最も高いのは中耳炎です
乳幼児では耳だれ(耳からの膿)が出ることで気づかれることがあります。
経過観察で治癒することもありますが、耳鼻科によっては鼓膜切開をしたり、抗生剤を内服するなどすることもあるので、麻疹後に耳垂れが出たら要受診です。
 
また、重症化して死亡例が少なくない合併症は2つあります
 
肺炎と、脳炎です
 
肺炎には3種類あり
病初期にウイルスに対する自己免疫で発症する「ウイルス性肺炎」
二次的に細菌に感染してしまう「細菌性肺炎」
そして成人の一部や、ステロイドや化学療法などを使用している免疫不全者に発症する「巨細胞性肺炎」の3つです。
 
3つ目の巨細胞性肺炎は、元々の患者の状態も相まって死亡例が多く報告されています。
 
 
また、脳炎は麻疹患者1000人のうち0.5~1人(0.05~0.1%)にみられます
 
頻度は低めですが、致死率は15%とされ
60%は完全治癒しますが、20~40%は麻痺や精神遅滞などの後遺症を起こしてしまうことがあります。
 
 
そして、10万人に1人ともされる合併症が、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)。
 
知能障害、運動障害で発症し、数ヶ月で全例が死亡してしまう恐ろしい病気です。発症後数年以上(7~10年)経ってから発症することがあるため、一度麻疹に罹患してしまうと、長い期間合併症の出現に気を配ることになってしまいます。
 

麻疹(はしか)の治療は?

特効薬はありません!
基本的に、他の人に感染しないように家でじっとしているのがよいです
前述したような合併症が出現した場合は、それに対する治療が必要になります
 
発疹がおさまってからも4日ほどは、周りへの感染力を持っている状態なので、治ったと思って学校や仕事へ行くと感染を拡げる原因になるため、注意が必要です
 

まとめ

もし周りに麻疹の方がいる場合や感染地域に赴く場合には
 
昔にワクチンを摂取していても、再度摂取することをおすすめします。
 
MRワクチンは、医療機関によりますが3,000~4,000円程度で受けられます